「日越つなぐロックバンド」デビュー
ベトナム人と日本人で構成するロックバンド・KURROCKがデビューアルバム「越」を発表した。
三原黎香
8/10/20231 分読む
リーダーでギターを担当するKJOは「音楽で日本とベトナムの懸け橋になりたい」と語る。KJOは2009年にベトナムから来日。留学生として日本に来ていたTrok(ボーカル)とSang(ベース)、日本人ミュージシャンのDaisuke(ドラム)と出会い、2020年に結成した。
「1日が始まり、街色に染まり/孤独な人の群れの中泳ぐ――」。アルバム名にもなっている代表曲「越」の歌い出しは、ままならない日常を描写する。日本で暮らすベトナム人の心情を表現したという。
歌詞には両国の言葉が交互に現れる。一方の言語しか解さない観客も多いが「日本とベトナム、両方の景色を伝える」(KJO)とこだわりを語る。聴き手は言葉のリズムから直感的に両国の風に触れる。
在留外国人として日本で暮らすベトナム人は2022年12月に48万人と、10年前の9倍だ。Daisukeは「ベトナム人をはじめ、日本に来ている人たちに勇気を届けたい」と話す。「越」にはベトナム語で「立ち上がれ、明日へ進め」と激励の言葉を入れた。
新たに日本人ボーカルをメンバーに迎える。「両国の文化を歌で紹介していきたい」(Sang)と、2つの国の民話から着想した曲を現在制作中だ。9月に両国の外交関係樹立50周年を記念する「『シンチャオ!さいたま』 ベトナムフェス」(さいたま市)、10月にコンサート「HATSU」(ヒューリックホール東京、千代田区)に出演する。